POWER BASE CONVERTER
マスターシステムがある以上、日本のメガアダプターに相当する製品もリリースされていました。上がそれに相当する「POWER BASE CONVERTER」です。実に分かりやすい製品名称です。その名の通りGENESISに接続してマスターシステムのソフトを遊ぶことができます。
メガアダプタと同様に(こういった下位互換のための周辺機器は海外の方が一般にニーズが高いので、正確にはこの製品が元祖で、これの日本向け製品がメガアダプタであると言うべきですが。日本用をメインに開発したなら少なくともメガアダプタにはFM音源を搭載していたはず。)カートリッジ、カードとも使用可能です。形状もメガアダプターとほとんど同じなのが上の画像で分かると思います。F16が動作しない事やスポーツパッドが使えないなどの制限もメガアダプタと同じです。なお3Dグラスや光線銃は使えます。
裏側はこんな感じです。GENESIS用の製品なので、本体側のコネクタ形状は丸みを帯びています。SEGAのロゴが表記されているなどその他にも微妙に異なる点があります。内部の構造もコネクタ形状を除いて同一で、ポーズボタン用回路以外はほとんどアドレス、データ(下位8ビットのみ)バスをそのまま結んでいるだけです。自作も容易でしょう。
パッケージはマスターシステム製品に使われている白地に黒の縦横縞ではなく、黒地に白の縦横縞になっています。遊べるソフト数は80以上と表記されており、当時の北米でのソフト発売本数は日本と大差無い。また別売のマスターシステム用パッド(製品番号#3020)でないと動かないソフトがあるとも書いてあります。例えばボンバーレイドやエイリアンシンドロームなどがそれに当たりますが、数本程度。
これが1990年頃の製品ですから、1986年頃に発表されたマスターシステムの寿命は海外でも短かったと言えます。実はSEGAは北米市場において1987年にマスターシステムの権利をTONKAという会社に売却して(GENESISリリース後の1990年に再度買い戻し)います。残念ながらこの会社はあまりマスターシステムの販売には積極的でなく、ヨーロッパ市場でヒットした作品さえ北米ではリリースしない等のひどい扱いを受けていました。
当時北米のゲーム機シェアの9割以上はNES(海外版ファミコン)になっており、こういった事情からマスターシステムの不人気度はますます高まったようです。このような事情から後期の北米発売のソフトには大抵、SEGAのロゴの下に「FROM TONKA」の文字があり、コピーライト表示もSEGAとTONKAの両方がついています。ソフトのケースにある「Distributed by Tonka Corp.」の表記は実に感慨深いです。
メガドライブに装着した例です。そのままではGENESISカートリッジは差し込めないので、このメガドラは内部のロック機構を外してあります。また画像では分かりませんが、国コード変更(JAPAN-USA)ができるように改造してあるため、マスターシステムのソフトでもいわゆる日本モード、海外モードの切替ができます。マスターシステムの基板にはこの切替ジャンパは見当たらなかったので、簡単に切り替えるにはメガドラ+メガアダプタやメガドラ+POWER BASE CONVERTERが便利です。
メガアダプタの短所としてFM音源が無いというのがありますが、海外版マスターシステムはもともとFM音源が無いためコンバータ使用時のデメリットは少ないです。メガドラの環境がそのまま使用できるのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。
なおメガドラ2にはメガアダプタが使用できない(形状的に装着できない)のですが、それと同様にGENESIS2にはこのコンバータは使えません。但しコンバータの後ろの突起部分を切断してしまえばGENESIS2やメガドラ2で使用することも可能になります。実際、そういった処置を施して動作確認済みです。なお、物理的に接続できさえすれば、GENESIS3・NOMAD・テラドライブなどの非常に特殊なハードを除けば、ほとんどのメガドラやGENESIS系機種で使用できます。CD一体型コンパクトタイプであるCDXやマルチメガさえもOKです。